ペットと一緒に入れる樹木葬完全ガイド｜費用相場から霊園選び・注意点まで徹底解説

樹木葬とは、従来の墓石の代わりに樹木や草花を墓標とする新しい形のお墓のことです。この樹木葬の中でも、近年特に注目されているのがペットと一緒に入れるタイプの樹木葬です。
ペットを家族の一員として大切にする価値観が広まったことで、「最愛のペットと死後も一緒にいたい」と願う人が増えています。従来のお墓では宗教的な理由からペットの納骨が認められないケースが多かったのですが、民間霊園を中心にペット共葬が可能な樹木葬が登場し、この願いを叶えられるようになりました。
ペットと一緒に入れる樹木葬では、人とペットの遺骨を同じ区画や同じ供養塔に納骨し、シンボルツリーの下で永代にわたって供養します。自然の中で安らかに眠ることができるため、「ペットらしい自然な供養」として多くの方に選ばれています。
法律面では、ペットは法的に「物」として扱われるため、人間のような埋葬許可は不要です。そのため、霊園側が受け入れを決めれば、法的な問題なくペットとの共葬が実現できます。ただし、霊園によって宗教的な制約や独自のルールがある場合があるため、事前の確認が重要です。

ペット共葬の樹木葬には大きく分けて3つのタイプがあります。それぞれの特徴を理解して、ご自身の希望に最も適した選択肢をお選びください。

最も人気が高いのが、人とペットが同じ区画に納骨されるタイプです。夫婦や家族の区画内に、ペットの遺骨も一緒に納めることができます。例えば、奥多摩霊園の「さくらWithペット」では、桜の樹の下でペットも家族と一緒に永代供養を受けることが可能です。
このタイプでは、ペットが先に亡くなった場合、先に納骨しておき、後から飼い主の遺骨を同じ区画に納骨するという流れが一般的です。一つの区画を共有するため、いつまでも愛するペットと一緒にいられる安心感が得られます。
ただし、霊園によって「ペット何体まで」「どんな動物まで」といった制限が異なるため、契約前に詳細な条件を確認することが大切です。

民間のペット霊園などが提供するペット専用の樹木葬区画もあります。人は入れませんが、ペットの火葬から納骨まで専門スタッフが一貫してサポートしてくれるメリットがあります。
ペット専用霊園の樹木葬では、小型犬から大型犬、猫、小動物まで幅広く受け入れている場合が多く、ペットの種類による制約が少ないのが特徴です。
一方で、飼い主は別途お墓を用意する必要があり、将来的にペットの遺骨を移動させたい場合の手続きが複雑になる可能性があります。また、ペット霊園の中には経営が不安定なところもあるため、霊園選びの際は運営会社の信頼性もしっかりと確認しましょう。

自宅の敷地内でペットの樹木葬を行うことも可能です。ペットは法律上「物」として扱われるため、自宅での埋葬に特別な許可は必要ありません。市販されている「Bios Urn for Pet」などの樹木葬キットを使用すれば、手軽に自宅での供養が実現できます。
手順としては、まずペットを火葬して遺骨の状態にし、生分解性の容器に納めて庭の適切な場所に埋葬します。その上に苗木や花の種を植えることで、ペットの供養と記念樹の成長を同時に楽しむことができます。
ただし、人間の遺骨は墓地以外への埋葬が法律で禁止されているため、この方法はペット単独の供養に限られます。また、賃貸住宅では実施できず、将来の引っ越し時には遺骨の移動が困難になることもご留意ください。

樹木葬の埋葬方法には主に3つのタイプがあり、それぞれでペットとの共葬時の扱いが異なります。将来の遺骨の取り扱いにも関わる重要な選択ですので、違いをしっかりと理解しておきましょう。

合祀型は、一定期間個別に安置した後、他の方々の遺骨と合同で埋葬する方式です。多くの樹木葬で採用されている最も一般的なタイプで、費用を抑えられるメリットがあります。
ペット共葬の場合、人とペットが同じ合祀墓に納められる霊園もあれば、人は人の合祀墓、ペットはペットの合祀墓に分けられる場合もあります。費用相場は、ペットと一緒で30～50万円程度、ペットのみの場合は1～5万円程度となっています。
重要な注意点として、一度合祀されると個別に遺骨を取り出すことができなくなります。将来的に改葬を考える可能性がある場合は、慎重に検討する必要があります。

個別型は、永代にわたって専用区画で遺骨を個別安置する方式です。家族とペットで一つの区画を占有し、他の遺骨と混ざることがありません。
このタイプでは、区画ごとにプレートや記念碑を設置できることが多く、お参りの際も特定の場所で手を合わせることができます。例えば、奥多摩霊園の個別区画（樹木葬タイプ）では、174区画限定で総額78万円から利用可能です。
費用相場は、飼い主と一緒の場合で50～200万円、ペットのみの場合は10～30万円程度と、最も高額になりますが、その分安心感と自由度が高いのが特徴です。人気区画は早期に売り切れる可能性があるため、希望する場合は早めの検討をおすすめします。

集合型は、合祀型と個別型の中間的な方式で、複数の遺骨を一つの区画内で骨壺のまま安置するタイプです。ロッカー式納骨堂に近いスタイルで、最近では桜の樹の下にロッカー型納骨壇を設ける霊園も見られます。
人とペットの場合、同じ区画内で別々の骨壺として安置されることが一般的です。他人の遺骨と混ざることはありませんが、区画は共有する形になります。
費用は合祀型より高く個別型より安い中間程度で、遺骨の個別性を保ちつつコストを抑えたい方に適した選択肢です。

ペットと一緒に入れる樹木葬の費用は、埋葬方法や霊園の立地、設備によって大きく異なります。全体的な相場感として、30万円から100万円程度の範囲で検討される方が多いのが現状です。
合祀型の場合、30万円程度から利用可能な霊園もあり、比較的手頃な価格で実現できます。一方、個別型で設備や立地条件の良い霊園を選ぶと、100万円を超える場合もあります。
費用の内訳は、主に以下の項目で構成されています。永代使用料は土地の使用権に相当する費用で、ペット共葬区画も通常の区画と同程度の金額設定が一般的です。永代供養料は将来にわたる供養・管理のための費用で、一度納めれば追加の管理費が不要な霊園も多くあります。
納骨料は遺骨を納める際の手数料で、ペット1体ごとに追加料金が発生する場合があります。墓碑・プレート代は記念碑や銘板の設置費用で、ペットの名前や肉球マークなどを刻印できるオプションも提供されています。
年間管理費については、永代供養の場合は不要な霊園が多いものの、一部では継続的な維持費が必要な場合もあります。

契約時に特に注意すべき費用のポイントをご紹介します。まず、提示された金額に何が含まれているかを必ず確認してください。
永代使用料について、土地使用権料にあたるこの費用は、ペット共葬区画でも通常の区画と同程度の設定が一般的です。ただし、ペットを含むことで区画サイズが変わる場合は、追加料金が発生することもあります。
納骨料は、1霊位ごとに費用が設定されている場合が多く、ペット1匹につき追加で数万円かかるケースもあります。複数のペットがいる場合は、事前に総額の見積もりを取ることが重要です。
管理費については、永代供養プランでは基本的に不要ですが、個別プレートの清掃や花の植え替えなど、特別なサービスを希望する場合は別途費用がかかることがあります。
刻字料・彫刻料は、プレートや記念碑に名前や日付を刻む費用で、文字数や装飾によって金額が変わります。ペットの名前も含めて刻印したい場合は、追加料金の有無を確認しておきましょう。

ペット共葬樹木葬を選択する際は、メリットとデメリットの両面を理解した上で判断することが大切です。愛するペットとの理想的な供養を実現するために、客観的な情報をもとに検討しましょう。

最大のメリットは、愛するペットとずっと一緒にいられる精神的な安心感です。長年家族として過ごしたペットと離れることなく、同じ場所で永眠できるという心の支えは、何にも代え難い価値があります。
自然に還れることも大きな魅力です。冷たい石のお墓ではなく、花や緑に囲まれた自然の中で眠ることができるため、「ペットらしい自然な供養」として満足感を得られます。
費用面でも、一般的なお墓の建立費用（数百万円）と比較すると、樹木葬は比較的リーズナブルな選択肢です。経済的な負担を抑えながら、心のこもった供養が実現できます。
また、永代供養システムにより、お墓の継承者を必要としません。子供や親族にお墓の管理負担をかけることなく、自分たちとペットだけで完結できる点も現代のライフスタイルに適しています。

一方で、いくつかの留意点もあります。まず、ペット共葬を受け入れている霊園がまだ限られているため、希望するエリアで見つからない場合があります。特に都市部では選択肢が少ない傾向にあります。
家族や親族の理解を得られない可能性もあります。伝統的な価値観を持つ世代では「ペットと人が一緒のお墓」に抵抗感を示す場合があり、事前の相談と説明が必要です。
合祀型を選択した場合、一度埋葬すると遺骨を個別に取り出すことができなくなります。将来的に改葬や分骨を考える可能性がある場合は、慎重な検討が必要です。
複数のペットを飼っている場合、頭数に応じて費用が増加する点にも注意が必要です。大型犬など体の大きなペットの場合は、受け入れに制限がある霊園もあります。
これらのデメリットも、事前の準備と霊園選びによって多くは解決可能です。メリット・デメリットを理解した上で、自分にとってベストな選択かじっくりと判断しましょう。

ペット共葬樹木葬を選択する際は、契約前に以下の重要事項を必ず確認してください。これらのポイントを押さえることで、後悔のない選択ができます。

ペット共葬可能な霊園でも、宗教・宗派に関する条件が設けられている場合があります。「宗教不問」と表示されていても、実際には特定の宗派への入檀が必要だったり、法要の際に特定の形式を求められることがあります。
契約前に、宗教的な制約の有無と、檀家になる必要があるかどうかを明確に確認しましょう。また、将来の法要や供養に関するルールについても事前に把握しておくことが重要です。

合祀型か個別型か、ペットと人の遺骨が本当に同じ場所に納められるのか、何年間個別供養を受けた後に合祀されるのかなど、埋葬方法の詳細を契約書で確認してください。
パンフレットの説明だけでは不明確な部分があれば、担当者に直接質問し、文書で回答をもらうことをおすすめします。特に「ペットも人も同じ供養塔に入るのか」「期間制限はあるのか」といった点は重要な確認事項です。

合祀型の樹木葬では、一度埋葬すると二度と遺骨を個別に取り出すことができません。将来的に「やはり手元に置きたい」「他の霊園に移したい」と思っても、物理的に不可能になります。
この制約について十分に理解し、家族全員で納得した上で契約することが大切です。少しでも迷いがある場合は、個別型を選択するか、一部の遺骨を手元供養用に残しておくことも検討しましょう。

ペット共葬は比較的新しい供養形式のため、家族や親族が理解を示さない場合があります。事後報告では感情的な対立を招く可能性があるため、必ず生前に相談し、自分の意向を説明してください。
資料を見せながら丁寧に説明し、可能であれば一緒に霊園見学に行くことで理解を深めてもらいましょう。また、自分の意思を書面に残しておくことで、将来のトラブルを防ぐことができます。

契約時の見積書には、何が含まれて何が別途料金になるのかを明記してもらいましょう。特に以下の項目については必ず確認が必要です。
刻字料・彫刻料が含まれているか、ペット何体まで同じ料金で納骨できるか、追加でペットを納骨する場合の費用はいくらか、年間管理費や法要費用は別途必要か、といった点を具体的に質問してください。
複数のペットがいる場合は、将来の納骨予定も含めて総額の見積もりを取り、予算内で収まるかどうかを事前に確認しておきましょう。

自宅の庭でペットの樹木葬を行うことは、法的に可能で比較的手軽に実施できる供養方法です。費用を抑えながら、いつでも身近にペットを感じられる環境を作ることができます。
自宅での樹木葬の基本的な手順をご紹介します。まず、ペットを火葬して遺骨の状態にします。火葬していない遺体をそのまま土葬することも法的には可能ですが、衛生面や臭いの問題を避けるため、火葬することを強くおすすめします。
次に、庭の適切な場所を選んで穴を掘ります。他の植物の根を傷つけない場所で、将来的に掘り返す予定のない安定した場所を選びましょう。深さは50cm以上が目安で、野生動物に掘り返されないよう十分な深さを確保してください。
遺骨を生分解性の容器や布に包んで埋葬し、その上に苗木や花の種を植えます。ただし、遺骨の直上に種を撒くと発芽を妨げる場合があるため、少し離した位置に植えることがポイントです。初心者の方は、丈夫で育てやすい花や樹木を選ぶことをおすすめします。
市販の樹木葬キット「Bios Urn for Pet」を使用すれば、種と肥料がセットになっており、手順も簡略化できて便利です。
自宅での樹木葬のメリットは、費用がほとんどかからないこと、いつでも身近にペットを感じられること、そして自分なりの供養スタイルを自由に作れることです。
一方で、賃貸住宅では実施できない、庭がないと不可能、ペットが複数いる場合はスペースが必要、将来引っ越すとお参りが困難になる、といったデメリットもあります。
重要な注意点として、人間の遺骨は墓地以外への埋葬が法律で禁止されているため、この方法はペット専用の供養となります。将来的に飼い主とペットが一緒に眠りたい場合は、霊園での樹木葬を検討する必要があります。

ペット共葬可能な樹木葬霊園を効率的に見つけるためには、いくつかの方法があります。それぞれの特徴を理解して、ご自身に最適な探し方を選択してください。
インターネットの霊園検索サイトを活用するのが最も効率的です。「お墓の口コミ」「ライフドット」「お墓さがし」「いいお墓」などの大手サイトでは、検索条件で「ペット可」を指定して絞り込むことができます。地域、費用、埋葬方法などの条件も同時に設定できるため、希望に合った霊園を効率的に見つけられます。
石材店や霊園紹介会社に相談する方法も有効です。専門知識を持ったスタッフが、予算や希望条件をもとに最適な霊園を提案してくれます。実際に現地を見学する際の同行サービスを提供している会社もあります。
地域の自治体や寺院に問い合わせることで、地元の情報を得ることも可能です。公営霊園ではペット共葬は難しい場合が多いですが、民間霊園の情報を教えてもらえることがあります。
具体的な霊園例をいくつかご紹介します。東京都の町田いずみ浄苑では、永代供養墓で10万円からペット共葬が可能です。桜の樹の下でペットと一緒に眠ることができ、アクセスも良好です。
関西圏では、ハナミズキの木の下で眠れるご夫婦・ペット区画を提供している霊園があり、墓碑付きで利用できます。地方の霊園では、ペット専用樹木葬区画を設けており、小型犬から大型犬まで火葬後の埋葬に対応しています。
霊園を見つけたら、必ず資料請求を行い、可能であれば実際に見学することをおすすめします。パンフレットだけでは分からない現地の雰囲気や管理状況を確認できます。見学の際は、ペットと一緒にお参りしやすいかどうかも重要なチェックポイントです。
複数の霊園を比較検討し、サービス内容、費用、立地条件、管理体制などを総合的に判断して選択しましょう。気になる霊園があれば、遠慮なく質問し、納得いくまで説明を受けてから契約することが大切です。

基本的に、従来のお墓（寺院墓地や公営墓地）ではペットの納骨は認められていません。宗教的な理由や管理規則により、人とペットの合葬は禁止されているケースがほとんどです。
しかし、最近はペット埋葬可能な民間霊園や樹木葬が増えており、そちらを利用することで実現できます。既存のお墓にペットを入れたい場合は、墓地管理者や住職に相談する必要がありますが、承認されることは非常に稀です。

埋葬方法や地域、霊園の設備によって大きく異なりますが、30～100万円程度が一般的な相場です。合祀型であれば30万円以下から利用可能な霊園もありますし、個別区画でしっかりとした設備を整えると100万円を超える場合もあります。
費用の内訳には永代使用料、永代供養料、納骨料、墓石・プレート代などが含まれます。ペットの頭数によって追加料金が発生することもあるため、複数の霊園で見積もりを取って比較検討することをおすすめします。

手元で保管するか、ペット霊園で一時的に預かってもらう方法があります。ペット共葬可能な樹木葬区画を生前に契約しておき、ペットの遺骨を先に納骨し、後から飼い主の遺骨を同じ区画に納骨することも可能です。
いずれの方法を選ぶ場合も、ペットは必ず火葬して遺骨の状態で保管・納骨してください。火葬業者は霊園が紹介してくれる場合もありますし、ペット火葬専門業者に直接依頼することもできます。

多くの霊園では犬、猫、小動物（ウサギ、ハムスター、鳥など）であれば受け入れてくれます。ただし、霊園によって対応できる動物の種類や大きさに制限があるため、契約前に必ず確認が必要です。
大型犬の場合は、受け入れ可能かどうか事前に問い合わせることをおすすめします。基本的には火葬できるペットであれば対応可能ですが、牛や馬など特殊なケースは専門の霊園に限られることがあります。

樹木葬は新しい供養スタイルなので、先祖代々のお墓とは別に用意される方が多いです。既存のお墓については、墓じまい（閉墓）して永代供養墓に移すか、親族に管理をお願いするか、維持し続けるかを検討する必要があります。
最近では、先祖代々のお墓を永代供養墓に改葬し、自分たちはペットと一緒の樹木葬を選択するケースも増えています。